作成中のAV用スピーカーについて2016年05月13日

今回作成中のスピーカーは、スピーカーユニット毎にターミナルが付いていること以外構造的には極普通のバスレフ型のスピーカーだが、AVアンプで駆動することが前提となっており、普通の 2chアンプでは成り立たない。
通常の 3ウェイスピーカーは LCネットワークが必要になるが、今回のスピーカーは T90A にローカット用のコンデンサが入るだけで、 FE103-sol と FF165WK にはネットワーク素子は一切入らない。
もちろん FE103-sol と FF165WK はフリーに鳴らしている訳ではなく、ちゃんと特定の周波数でクロスしているのである。
これが AVアンプなら実現できる(AVアンプと言ってもパナソニックの SU-XRシリーズしか知らないので SU-XRシリーズの機能が前提ということになるが、たぶん他のAVアンプでも同等のことができるものと思う)。
アンプとスピーカーの接続方法は接続イメージをご参照ください。
AVアンプにパナソニックの SU-XR57、サブウーハー用アンプには同じくパナソニックの SA-XR10 を使用しております。

AVアンプでメインスピーカーのサイズをスモールに設定すると、低域成分をサブウーハーに出力するようになる。
今回のスピーカーの場合、メインスピーカーが FE103-sol で、サブウーハーが FF165WK になります。
低域のカットオフ周波数もフィルター値の設定により、ある程度(100Hz~200Hz程度)調整でき、さらに、サブウーハーの音量も AVアンプのサブウーハーレベルで調整できるし、サブウーハー用アンプのボリュームでも調整できるので、かなりの範囲で調整可能となる。
また、バイワイヤー接続モードにすると中域と高域(FE103-sol と T90A)のレベル合わせや位相の調整まで可能となる。
通常、LCネットワークを使用する 3ウェイスピーカーを設計する場合、高・中・低各ユニットの能率を考慮する必要があるが、AVアンプを使えばアンプ側で高・中・低各ユニットの音量をある程度調整できるので、能率のことは厳密に考える必要はなくなり、LCネットワークによる音質低下を危惧する必要もない。

欠点としては、低域成分がモノラルになることと、サブウーハー用のアンプが必要になること。
それと、サブウーハーのフィルター値は中域ユニット用とサブウーハー用に各々に設定することができず、クロスポイントの特性(減衰率)はアンプにおまかせするしかないので、クロスが厚すぎたり薄すぎたりした場合はお手上げになってしまう。
実は、今回のスピーカーを設計する前に色々テストしたが、その時は初めに中域用のスピーカーとして FE88ES を使ったが、どうしてもクロスが薄くなってしまい音に厚みが足りないように感じた。
箱を工夫すれば下に伸ばすことはできるのかもしれないが、今回は箱自体は複雑にしたくなかったので、 1~2サイズ程度大きいスピーカーユニット(10~16cm)に変更することにした。
それで、ネットの評判が非常に良い FE103-Solを購入してみた。
在庫が無くなる寸前だったが、ギリギリのタイミングで購入することができたのは幸運でした。

上記したように、スピーカーユニットの能率は気にしなくて良い代わりに、AVアンプとサブウーハー用アンプのゲインには多少気を使う必要があり、サブウーハー用アンプのゲインはAVアンプと同等かそれ以上のゲインを持つアンプが必要と思われる。
テスト時にはサブウーハー用アンプのボリュームを最大にした場合、残留ノイズが気になったが、AVアンプ側でサブウーハーのレベルを MAXにすることで、サブウーハー用アンプのボリュームをやや絞り気味にすることができ、残留ノイズは全然気にならないレベルにすることができた。
ということからも、サブウーハー用アンプは AVアンプよりハイパワーアンプの方が良い。
また、低域成分はモノラルになるが、サブウーハーに出力される信号は 100Hz~200Hz以下のかなり低い周波数帯域なので、定位にはそれほど影響しないとものと思う。

まぁ、簡単に言えば「2.1chのサブウーハーを 2発にして左右のスピーカーに組み入れただけ。」とも言えるし、「簡易的なマルチシステム」とも言えると思う。
今まで「AV用スピーカー」としていたが、「AVアンプ向けスピーカー」とか「AVアンプ対応スピーカー」の方が正しい表現かな。